手数料・トラブル・信頼関係――デジタル化の裏で広がる「現金の安心感」
キャッシュレス決済が一般的になった今、街の飲食店や商店の中で「現金のみ」の張り紙を見かけること、ありませんか?
最新の調査によると、あえてキャッシュレスを導入しない店舗がじわじわ増加しているようです。
(参考:テレビ朝日ニュースの報道)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000466193.html
なぜ「現金回帰」が起きているのか
1) 決済手数料による利益圧迫
キャッシュレス決済は確かに便利ですが、決済代行会社やカード会社に支払う手数料が発生します。飲食店や小規模店舗では薄利のところが多く、毎月の手数料が積み重なると経営に響くことがあります。特に単価の低い店舗では「手数料を払うくらいなら現金だけでいい」という判断につながりやすいのです。
2) 通信・システムトラブルのリスク
端末の故障や通信障害で決済ができないと、その場で売上を失ってしまいます。電波状況が不安定な地方・商店街・古いビルの店舗などでは、決済トラブルへの備えとして現金を優先する選択が見られます。現金なら技術的なトラブルによる販売機会損失が起きません。
3) 顧客との信頼関係・会計の単純さ
常連客が多い小さなお店では、会話や雰囲気を大切にする経営が行われます。端末操作や会計処理に時間を割きたくない、または高齢の顧客が多く現金しか使わないことが理由で、あえて現金主義を続けるケースもあります。現金は「分かりやすさ」と「即時性」の面で根強い支持を受けています。
店舗側の“現金回帰”は一時的か、構造的か?
短期的な対応で現金に戻す店もあれば、長期的に現金主義を貫く店もあります。ポイントは「ビジネスモデル」と「顧客層」です。高回転の低価格業態や観光地の土産物店などはキャッシュレス導入で利便性や売上向上が見込めますが、個人経営の飲食店や細々とした商店では運用コストと手間を重視して現金を維持する傾向があります。
また、キャッシュレス化を推進する政策や店側の補助がどれだけ出るかによって、導入ハードルは変わります。政府や決済事業者の支援が不十分だと、小規模事業者の現金回帰は続く可能性があります。
消費者(買う側)はどう対応すべきか?
1) 事前確認を習慣にする
外出先で買い物をする前に、その店がキャッシュレス対応かを調べるのはストレスフリーの第一歩です。SNSやGoogleマップの口コミ、店舗の公式情報をチェックしましょう。
2) 小銭や現金を少し持っておく
完全キャッシュレスを目指すのも良いですが、現金のみの店に出くわしたときのために数千円程度の現金を携帯しておくと安心です。特に地方や商店街では現金需要が高い傾向があります。
3) 支払いの選択肢を尊重する視点を持つ
消費者が「キャッシュレスを使いたい」「現金で払いたい」と選べる環境が理想です。店側にとってのコストや現場の事情もあるため、両者のバランスを考えた行動が求められます。
キャッシュレス推進側が取り得る対策
- 小規模事業者向けの手数料負担軽減策や補助金の拡充。
- 決済端末の安定性向上とオフライン決済対応の拡大。
- 店舗向けの教育・導入サポート(設定、会計フローの簡素化)。
これらが実施されれば、導入の心理的・経済的ハードルは下がり、キャッシュレスと現金の“共存”が自然と進むはずです。
まとめ:便利さと安心感、どちらも大切にする時代へ
キャッシュレスは利便性を飛躍的に高めましたが、コストや運用リスク、顧客層の事情から「現金のみ」を選ぶ店舗が出てくるのは自然な流れです。重要なのは、どちらが正解かを決めることではなく、消費者と店舗が選択肢を持ち、それぞれの事情に合った決済方法を使える社会を作ること。
個人としては、キャッシュレスは支払いの感覚が薄いので、現金派です。子供にもお金の大切さを教えるために現金には慣れていってもらいたいところ。
使用方法によって選択肢がふえる事は良いことですね。
